What is PSQ?

ポリシルセスキオキサン(PSQ)とは、3官能性オルガノシラン化合物より合成されたシロキサン結合(Si-O-Si)で構成される高機能樹脂です。
無機材料の持つ高耐熱性、高耐候性などの特徴と、有機官能基の種類により様々な特性が付与された有機-無機ハイブリッド材料であり、同じシリコーン樹脂のシリコーンオイル・ゴムやシリカとは異なった性質を示します。

ポリシルセスキオキサン

PSQの構造

シリコーン樹脂の単位構造は図中の4種類があり、PSQはT構造から構成されます。
また高次構造にはランダム構造、ラダー構造、ケージ構造の3つの構造体があり、有機性官能基の種類はもとより、これらの構造や重合度を変えることでも異なった特性を示します。

4つの単位構造

4つの単位構造

3つの高次構造

3つの高次構造

小西化学 シリーズ紹介

小西化学では下記のラインナップでPSQ製品を提供しております。

SRシリーズ

SRシリーズ

ランダム構造がメインのPSQオリゴマー~ポリマータイプ

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シルセテックシリーズ

シルセテックシリーズ

小西化学独自のケイ素系熱硬化材料

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SR series

SRシリーズの特徴

SRシリーズは主にランダム構造で構成されるPSQオリゴマー~ポリマーのタイプです。SRシリーズは反応性末端基が残存しており、加熱によってシロキサン結合の架橋が形成され、耐久性に優れる硬化物を形成することができます。

SRシリーズ

SRシリーズ 各製品紹介

SRシリーズは標準グレードとして有機官能基の種類がメチル基、フェニル基及びその共重合タイプのものをご用意しています。 製品分子量の調整や製品形態をご提供致します。

SRシリーズ 製品ラインナップ
Product Functional Group R End Group Mw
SR
-23 Phenyl -Si-OH
-Si-OEt
1,000~5,000
-13H Methyl -Si-OH
-Si-OEt
3,000~10,000
-3321 Methyl/Phenyl -Si-OH
-Si-OEt
1,000~10,000

規格ではありません

SRシリーズの製造技術

PSQオリゴマー・ポリマーは分子量や単位構造比率の違いにより特性が異なることがあります。 弊社ではポリメチルシルセスキオキサンの製造において、分子量と単位構造比率(T3構造比)を一定範囲内に精密に制御する工業製造法の技術を確立しております。その製法にて弊社は大阪工研協会主催の第68回工業技術賞を受賞致しました。 お客様のご要望に応じて最適に構造制御されたPSQ製品を提供し、性能向上や歩留まり向上に貢献致します。

SR-13H 品質設計範囲
品質 設計範囲
分子量Mw 3,000〜10,000
T3構造比 60〜80%

SRシリーズの使用例

SRシリーズ硬化物作成法の一例を下記に示します。
[条件]
SRシリーズ:SR-13H(メチル基)
溶剤:酢酸ブチル
固形分濃度:70wt%
①SR-13Hワニスを基材に塗布する、あるいは鋳型へ流し込む。
②120~130℃の加熱により塗膜の脱気および溶剤を乾燥する。
③150~200℃の加熱にて架橋形成し、硬化物とする。

温度と硬化進行のイメージ 温度と硬化進行のイメージ

SRシリーズ 一般物性

SRシリーズの硬化樹脂は炭素骨格よりも安定なシロキサン結合で構成されるため耐熱性や耐光性に優れており、高温下や光照射環境において高い信頼性を示します。さらに高透明性、高硬度、低屈折率、低誘電率といった特徴を持つため、光学材料や絶縁コーティング材料などの用途に適しています。

SR-13H 基礎物性一覧
試験項目 試験方法 試験値
比重[g/cm3] アルキメデス法 1.25~1.27
表面硬度 鉛筆硬度試験 JIS K 5600-5-4 膜厚:0.5mm 6H
光透過率 波長:400nm 膜厚:0.5mm 93%
屈折率 分光干渉法 波長:589nm(Na-D線) 1.42
Td5 TG-DTA 409℃
Tg DSC ≧409℃
熱伝導率[W/m・K] レーザーフラッシュ法 熱拡散率より算出 0.31
熱膨張率[×10-4 K-1] TMA 1.8~2.4
比誘電率(1GHz) インピーダンス測定器 3.2
誘電正接(1GHz) インピーダンス測定器 0.0009

規格ではありません

SRシリーズ 光線透過率

SR-13 基礎物性一覧 SRシリーズの各波長における光線透過率を示します。
可視光領域で高い透過率を持つことが分かります。

SR-13H 光照射下の劣化特性

SR-13 光照射下の劣化特性 フェードメーターによる透過性保持率の変化を示します。
SR-13Hは長時間の光照射条件でも劣化しないことが分かります。

Silsetech series

What is Silsetech ?

シルセテックシリーズはガラスに替わる新たな光学材料として開発された小西化学独自のケイ素系熱硬化性樹脂です。
シルセテックLRは脱水縮合反応によりシロキサン結合の架橋で熱硬化でき、高い光透過率と高耐熱性を持つ硬化物を作成出来ます。

品名 固形分濃度 溶剤 粘度
Silsetech LR1 70 wt% PGME 300 mPa・s
Silsetech LR2 70 wt% PGME 180 mPa・s

推奨の硬化触媒もご提供致します。

シルセテックシリーズは、これまでのPSQ開発で培った経験と技術を活用して開発されました。
特徴として、SRシリーズよりも高い光透過率と表面硬度・低屈折率を有します。
今後も用途に応じた新たなシルセテックの開発を進めます。

How to use Silsetech ?

Bステージ加工法によりシートに成形できます。優れた耐擦傷性、光透過率、耐熱性を示します。

シート成形

A 鋳型にワニスを入れ、60℃で乾燥させる。 鋳型にワニスを入れ、60℃で乾燥させる。

B 鋳型から外し、所定の形状に裁断する。 鋳型から外し、所定の形状に裁断する。

C 150℃以上で完全に硬化させる。 150℃以上で完全に硬化させる。

スピンコート法などで、コーティングにも成形可能です。

コーティング
(スピンコート法)

条件
硬化触媒量 2,000ppm
ワニスの固形分濃度 65%
基材 Glass
回転速度 1,200rpm
熱硬化条件 120℃15min
塗膜の物性
厚さ 13μm
表面硬度 2H
有機溶剤への溶解性 Insoluble

Silsetech LR1

硬化速度が速く、硬化物はガラス並みの表面硬度を有し、耐擦傷性が求められる用途に適しております。

Silsetech LR2

硬化速度が遅く、コーティングや厚みのあるシートなど様々な形状に成形可能です。

硬化条件 thickness :1mm
  LR1 LR2
硬化触媒量 500ppm 2,000ppm
熱硬化条件 60℃1.5hr→180℃15min 70℃ 1.5hr→110℃ 1hr→180℃ 16min
試験項目 試験方法 試験値
    LR1 LR2
比重[g/cm3] アルキメデス法 1.36 1.34
表面硬度 鉛筆硬度試験JIS K 5600-5-4 9H 8H
光透過率 波長:400nm 94% 94%
屈折率 分光干渉法 波長:589nm(Na-D線) 1.40 1.40
Td1 TG-DTA 294℃ 246℃
ヤング率[GPa] ナノインデンテーション 0.9 0.7
熱膨張率[×10-4K-1] TMA 2.1 1.7
比誘電率(1GHz) インピーダンス測定器 2.87 3.35
誘電正接(1GHz) インピーダンス測定器 0.023 0.024

規格ではありません

ナノインプリント

モールドの微細な凹凸パターンを樹脂に転写するナノインプリント技術は、半導体分野では大面積のパターンをハイスループットで作製できることや、撥水性の向上など特徴的な機能発現が可能な表面の微細構造を作製できることで、注目されています。

ナノインプリント技術をシルセテックに適用することで、耐熱性をもつ反射防止構造を作製しました。
本研究は、東京都立大学 都市環境科学研究科 柳下 崇 教授との共同研究結果です。
Jpn. J. Appl. Phys., 62, 068002 (2023)