カップリング反応に関して

近年、小西化学は、遷移金属触媒を用いたカップリング反応に関する研究に取り組んでおります。 カップリング反応を用いることにより、医薬中間体や電子材料のような複雑な構造をもつ低分子化合物、 分子量の大きいモノマー、共重合ポリマーといった高機能物質の合成を行うことができます。 このような反応は、一般的に低水分条件や、低酸素条件が必要となり、スケールアップが困難なことも多いのですが、 弊社では、特にスルホン酸を有するような化合物に関して豊富なスケールアップ実績を有しております。

カップリング反応の一例) 鈴木・宮浦カップリング反応

カップリング反応の一例) 鈴木・宮浦カップリング反応

カップリング反応の一例) 山本重合

カップリング反応の一例) 山本重合

共重合ポリマーに関して

共重合ポリマーとは、2種類以上のモノマーより生成するポリマーを意味します。
弊社では、スルホン酸を有するモノマー(あるいはオリゴマー)と、親水性官能基を持たないモノマー(あるいはオリゴマー)のカップリング反応により、 親水性セグメントと疎水性セグメントを持つ共重合ポリマーを合成する研究を行っております。
一般的に、ポリマーに親水性官能基を導入すると強度が低下することが知られていますが、モノマーと分子量の高いオリゴマーとの共重合により、 ミクロ相分離構造由来の強度の向上とプロトン伝導度の向上が期待できます。
また、共重合体の中の親水性基含量を制御したり、共重合の分子量もある程度、制御可能な為、分子設計に基づいた材料合成が可能になります。

ミクロ相分離構造(模式図)

ミクロ相分離構造(模式図) ミクロレベルでプロトン伝導相と補強相が分離することにより効率的なプロトン伝導と膜強度の向上が達成される。

共重合型スルホン酸ポリマーの合成例(特開2019-019226)

共重合型スルホン酸ポリマーの合成例

  • 工業的に使用可能なニッケル錯体を触媒量使用し、重合。Mwは、数万~数十万
  • 分子設計に基づき、モノマーとオリゴマーの比率を変え、親水性官能基の導入を制御
  • 公報記載以外にも、触媒の変更等により、構造の異なる共重合型スルホン酸ポリマーも合成可能

共重合型スルホン酸ポリマーの応用可能性

前述したように共重合型スルホン酸ポリマーは、高プロトン伝導性と高強度の両立を可能としますので、過酷な条件下で使用されるイオン交換物質に応用が可能です。 具体的には、燃料電池向け固体電解質膜(PEM)等への応用研究がなされています。

共重合型スルホン酸ポリマーの応用可能性